今回は、もし不倫相手がフリーターや無職であった場合に、慰謝料を取れるのかどうか?を解説します。
法の解釈では「無い袖は振れない」です。
つまり基本的には、収入がない人については、慰謝料請求をしても支払ってもらえない可能性があるんですよ。
そこで、
- 不倫相手が収入がない人だったり
- もし仮に自己破産してしまった場合どうなるか
- 泣き寝入りしないためにはどうすればいいのか
について、詳しくご説明していきます。
相手の収入に関係なく、慰謝料請求はできる!
実は、相手に支払能力があろうがなかろうが、慰謝料の請求をすること自体は可能なんですよ!
相手がきちんと支払ってくれるかどうかはまた別問題ですが。。。
ですが、請求すること自体にはあなたに権利があるので、遠慮せず行使しましょう。
今回の記事では証拠が十分に揃ってることを前提にお話していきます。
「不倫の証拠」について詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
不貞行為=不法行為
まず、はっきり言っておきますが、不倫(=不貞行為)は不法行為です。これは法律で定められています。
「不貞行為」とは
結婚している人が、配偶者以外の人と肉体関係を持つこと
つまり、不倫をされた私たちは被害者なんですよ。精神的な損害を受けていますからね。当然です。
交通事故を想像してみましょう
普通、交通事故に遭って怪我をしたら、加害者から被害者へ慰謝料が支払われますよね。それと同じことが不倫においても言えます。
不倫では精神的な損害賠償として、加害者(不倫した側)へ慰謝料を請求することが出来るんです。
このように、慰謝料請求をすることは被害者である私たちの権利です。
なので私たちは、その与えられてる権利を主張していいんです。
相手に支払能力があろうがなかろうが、気にせず慰謝料の請求をしていいんですよ。
ただ、それを不倫相手が払うか払わないかは、また別の話…。
不倫相手に支払い能力がない場合
悲しいことに、お金がない・収入がないところからは取れないっていうのが法的な解釈です。
慰謝料が減額されたり、支払ってもらえないこともある
先程も言ったように、法的な解釈では、収入がない人からはお金が取れません。
もし裁判とかになってしまうと、相手の収入なども考慮されて慰謝料の額が決まるため、思った通りの金額を支払ってもらうことは困難かもしれません。
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これはあくまで調停や裁判まで発展した場合の話ですが、たとえば、
- 200万円慰謝料を請求したとしても、不倫相手がアルバイトで年収が低く、金額が50万円に減額される
- 無職だった場合、支払い能力なしと見なされ慰謝料請求できない
というようなことも大いに考えられます。
なので、不倫相手の収入が低いような場合は、お互いの合意だけで成立する「示談」で済ませた方が、より多くのお金を回収できる可能性がありますよ。
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未払いでも罰則がない現実・・・
示談や裁判で慰謝料の額や支払い期限、方法など、諸々の約束事が決定しますよね。
もし、この決まった約束を守らなかった場合、どうなるかご存知ですか?
実は未払いがずっと続いたとしても、不倫相手には何の罰則もありません。
不倫相手が慰謝料の支払いに応じなくても、何の痛手も負わないということです。
悲しいことに、今現在の日本の法律では、慰謝料の未払いが発生しても、不倫相手には何の罰則も懲役刑もありません。
ですので、不倫相手が慰謝料を支払わずに逃げてしまった場合、あなたが泣き寝入りとなってしまう可能性があります。
未払いが続いた時は強制執行を
とりあえず、慰謝料の未払いが続いたら強制執行(給与や財産等の差し押さえ)の手続をしましょう。
裁判所へ申し立てを行ったり、書類を色々と準備したりと、かなりの労力がかかります。
ですので、慰謝料などのルールが決定した際には、公正証書に残しておくことを強くオススメします。
公正証書とは?
「公証人」という法律の専門家が作成する慰謝料などのことについて書かれた書面のこと。証拠力が高く、安全。強制執行する際には、裁判を起こさなくても執行できるのが最大のメリット。
差し押さえ出来ない場合も・・・
上述したように、法的な解釈としては『無い袖は振れない』なので、お金がないところからは回収できません。
- 資産や財産(貯金や不動産など)がない
- 働いてない(=収入がない)
このような方が不倫相手だったら、差し押さえしても微々たる額にしかならなかったり、または差し押さえ自体が出来ないこともあります。
泣き寝入り防止策として「保証人」を付けよう
あなたが泣き寝入りになるのを防ぐために、慰謝料の支払いに関して「保証人」を付けることをおすすめします。
これは示談などの話し合いの場などで、しっかりと取り決めをして下さいね。
たとえば、
「不倫相手が慰謝料を支払わなかった場合、不倫相手の両親に請求する」
など。
これは強要することはできませんが、「保証人をつけてもらえますか?」などと、保証人についての話し合いをしておきましょう。
注意ポイント
後々発生するかも知れない「慰謝料の支払いが滞った場合の対処はどうするのか?」について、きちんと話し合っておくことが重要です
脅迫・強要してはいけない!
不倫相手の収入が低いからと言って、「お金を借りて慰謝料支払え!」というような行為は絶対にいけませんよ。
何としてでも慰謝料を支払ってもらいたい気持ちは分かるんですが、
無理やり金融会社からお金を借りさせるようなことはしては絶対ダメ
です。
金融会社から借りることを強要したり、脅したりして無理やり契約させると、強要罪(または脅迫罪)で、あなたが罰せられる可能性がでてきます。
もしも不倫相手の方が、
などと、強要されたわけでもなく『自分から進んで(=自発的に)金融機関に借りる』という場合は大丈夫です。
つまり、あなたが強要や脅迫、そうなるように仕向けるのはダメってことです。
注意ポイント
強要や脅迫行為は絶対ダメ
もしも不倫相手が自己破産したらどうなる!?
自己破産とは?
自分ではどうやっても払えない借金の返済義務を免除してもらうこと
慰謝料の額が大きすぎて支払うことが出来ずに、自己破産を選択する人も中にはいるかも知れません。
そこで、「慰謝料請求した相手が自己破産してしまった場合はどうなるのか?」についてご説明します。
「免責」と「非免責」がある
自己破産には「非免責」というのがあって、自己破産してもなくならない借金のことを指します。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は免責の対象外
法律用語は難しいですね(笑)
もっと噛み砕いて解説しましょう。
ざっくり簡単に言うと、
『悪意のある不法行為』においては、自己破産をしても支払義務がずっと残りますよ!
ってことです。
慰謝料は免責になるのか?
結論から言うと、ケースバイケースです。
慰謝料の支払義務が残る場合もあれば、免責になって慰謝料を払わなくていい場合もあります。
それぞれの場合により、免責になったり免責にならなかったりしますので、一概に『コレ!』という答えはありません。
どういう時に免責になるのか?
- 一体、どういった場合に免責になるのか?
- どういう時に慰謝料支払い義務が残ってくれるのか?
では、ここからは法的な解釈を基に説明していきます。
法律に登場する「悪意」という言葉について
元々はこの「悪意」という言葉は、法律的には「知っていた」という意味に変換出来るんですよ。
「悪意のある不法行為」
↓
「知っていた不法行為(不貞行為)」
直訳すると変な文章になってしまいますよね。
「悪意=知っていた」に変換して意味が分からない内容になってしまった場合に関しては、
悪意=積極的な加害の意図・意欲
という意味として解釈されます。
この『積極的な加害』というのは、「加害者(不倫相手)が被害者(あなた)へ直接向けられた加害行為」を指します。
いまいちピンと来ないと思いますので、具体例を挙げながら、もっと噛み砕いてご説明しますね。
具体例
例えば、夫が不倫をして不倫相手のAさんと複数回にわたり不貞行為の事実があったとします。
以下の「免責になる場合」と「免責にならない場合」の2パターンを見て下さい。
免責になるケース
不倫が発覚し、あなたはAさんに慰謝料請求をしました。が、Aさんは収入も少なく、とても払える状態ではないので自己破産をしました。
この場合は、免責になる可能性が高いです。
つまり、『Aさんがあなたに慰謝料を払わなくて済んでしまう可能性が高い』ということですね。
これが何故免責になる可能性が高いのかと言うと、
Aさんが『あなた』に対して直接向けた危害ではないから
なんですよ。
では、次に免責にならない場合の例を見てみましょう。
免責にならないケース①
あなたがAさんに「不倫関係を解消して!」と抗議をしたのに、それでもAさんは夫と関係を持っていた。
この例のように、あなたの訴えを無視して関係を続けていたような場合、「あなたに向けられた危害」と見なされることが多いです。
なのでこのような場合は、慰謝料が免責にならず、慰謝料の支払義務が残ります。
免責にならないケース②
Aがさんがあなたに対して無言電話や嫌がらせの手紙など、あなたに対して直接行動に出ていた。
これは分かりやすいと思いますが、「直接危害を加えている=あなたに向けられた危害」となるので、免責になりません。
つまり、自己破産をしてもAさんは慰謝料を払わないといけなくなります。
以上のことをまとめると、
- Aさんがあなたに対して危害を加えている
- あなたに向けて攻撃をしていた
このような場合は、不倫相手が自己破産をしても、慰謝料の支払義務は残るでしょう。
※ただし、上記の例はあくまでも「○○になる可能性が高い」という例になります。確実な答えというワケではありません。
(専門家の間でも解釈が異なる)
なので、一概に「免責になる」「ならない」ってハッキリとは言えないんですよね。
本当にケースバイケース
前述したように、専門家の間でも意見や解釈が異なりますので、本当に切羽詰まっている人は、専門家に相談しましょう!
ですが、弁護士などに相談するのにも費用がかかってしまいますよね。
免責になってしまう場合のことを考えると、
「これ以上お金をかけたくない…」
「もういい、諦める。訴えてもお金回収できそうにないし…」
などと、泣き寝入りとなってしまうかも知れませんよね。
そこで私がおすすめするのが、全国にある「法テラス」です。
法テラスとは?
弁護士に無料で相談出来るシステム。弁護士等の専門家を紹介してもらったり、法律のことについて説明してくれたりします。
要予約ですが、相談は無料ですので、お金に余裕のない方や弁護士を探してる方は一度こちらで相談されてはいかがでしょうか?
泣き寝入り対策を!
この記事をまとめると、
不倫相手に収入がないような場合
- 慰謝料請求自体は可能
- ただし、減額や免責の可能性あり
- 未払いの場合、強制執行しても差し押さえする物がないことも
不倫相手が自己破産してしまった場合
- あなたに向けられた危害でなければ免責になる恐れ
- あなたに向けて危害を加えたら自己破産しても支払い義務が残る
上の方でご説明したように、不倫相手が慰謝料の支払いをせずに逃げてしまった場合、
不倫相手には罰則も懲役刑も何もないため、あなたが泣き寝入りになる恐れがあります。
ですので、できることなら慰謝料の請求をする際に、連帯保証人をつけることを強くオススメします。
ただ、不倫相手が納得の上で保証人をつける分に関しては全然OKですが、強制することはできません。
こういった連帯保証人を付ける等して、あなたが泣き寝入りになる可能性を少しでも減らすようにして下さいね。
連帯保証人を付けるのが難しい場合、不倫相手の資産を担保にしてもOKです。
なので、もし連帯保証人をつけることを拒否したり、資産を担保にすることを拒んだ場合は正直厄介ですね。
相手に少しでも誠意や誠実さがあれば慰謝料は払ってもらえるでしょうが、全く誠意がない卑怯な人でしたら、こちらが泣き寝入りしてしまうかも知れません。
「相手に誠実さがないかもしれない」という気持ちで慰謝料請求をした方がいいかも知れません。
被害者であるこっちが泣き寝入りになるかも知れないなんて、おかしな話ですけどね。
泣き寝入りにならないための対策を出来るだけ講じておいて下さいね。
こちらの記事も参考にしてみて下さい。
この記事が少しでもあなたの役に立ちますように。
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